できたばかりの飲食店は実力が出せていない
「料理を作る」ということは多大な「労力」を要することです。ましてや「飲食店」となると、「オーダーをもらってからテーブルに出すまでの時間」も加味しなければいけません。それは「シーン」によっても明白で、例えば「ランチタイム」などであれば、どのような会社でも「せいぜい一時間」が休憩時間です。ランチタイムに「食事をする」ということは、「休憩時間の一部」を費やすということです。一時間たっぷりかけて食事をとるようなビジネスマンはいません。そのほとんどが食事は手早くすませて一服したり、別のことをしたりという具合に時間を使うものです。そして自分の職場からその飲食店までの「道程」にも時間をかけています。そのようなことを加味すると、ランチタイムには「いち早く注文品を出して欲しい」わけです。そのためには迅速に調理ができるような「仕込み」と、手早く調理する「技術」、そしてオーダーを的確に処理する能力が必要です。
そのような過酷な状況のなかで「味」にもこだわるとなると、それはレシピとして完成されていると同時に、店舗の運営システムとしても完成されている必要があるのです。調理やその結果の「味」の部分はともかく、「店舗のシステム」や「スタッフの習熟度」という点においては、これは店舗を何日も回し、より「実戦的」に改善を続けることでしか完成しません。そのような「経験」は店舗にとっては資産であり、その後の運営を左右する「武器」でもあるのです。そのような重要なファクターが、「できたばかりの飲食店」には欠けています。
ですから、「立ち上げたばかりの飲食店」は実力を出しきれないのです。数多くのオーダーをさばくことは特殊技術といってもいいでしょう。そして、その特殊技術はある程度「マニュアル」でまかなえるものの、最終的には「実際に動くスタッフ」の習熟度がすべてです。最高の料理を作れる自負があるとしても、「ホール仕事」を自分で行うわけではないのであれば、その店舗の「回転効率」はその「ホールスタッフ」の手に委ねられているといってもいいのです。「回す」ということがチグハグになってしまうと、それは「厨房」にも影響します。「どの料理をどんなプライオリティで調理するか」と整理が行えなくなった場合、厨房は地獄のような状態になります。そして、立ちあげたばかりの店舗ではそのようになってしまう確立も至極高いのです。ですから、「開店したばかり」の飲食店は、顧客側としては「ランチタイムは外そう」などという思慮が少し必要になるかもしれません。その飲食店が「チェーン店」であり、すでに習熟したスタッフが配属されていれば最初からフルポテシャルの運営も可能なのですが、個人経営の店舗などではそれが困難です。ですから、「どうしても時間が惜しい」場合は「初めて見る飲食店」は避けた方が無難ということになります。
これはランチだけに限ったはなしではありません。「人が食事をする時間」というのはだいたいが同じような時間帯なのです。ですから、どのような飲食店でも「人が食事をする時間」には「混む」のです。ですが、仕事も終わった「夜」であれば、少しくらい時間がかかってもいいかもしれません。様子を探るのもいいのではないでしょうか。