材料にこだわる飲食店は大したことがない

世の中の飲食店はさまざまな「価値」を打ち出して私たち「顧客」を捕まえようとします。飲食店は「客商売」ですから、「お客さん」が訪れなければ収益がどんどん減り、やがては潰れてしまうのです。そのようなビジネスでは、いかにお客さんにあしを向けてもらうかという点が最大の「ポイント」になります。

飲食店の打ち出しはさまざまです。ひとつの料理一本で顧客を集める飲食店もあれば、さまざまな趣向を凝らし、お客さんの「自由度」を高め、それぞれの「好み」の味の料理を提供できることを「ウリ」にする場合もあります。そのような場合は、「味は濃い目がいい」だとか「油っぽくない方がいい」というそれぞれの細かな要望、つまり「ニーズ」に応えることができます。そのかわりに、調理の手間が少し増えます。同じ状態の料理を大量生産するのであればいいのですが、細かい顧客のニーズに応えているとその分「バリエーション」が増えてしまうからです。ですが、そのような「手間」でお客さんが増えるのであればそれは「必要経費だ」としてそのようなサービスを続けている飲食店もあるのです。

飲食店の「客寄せ」は熾烈です。「値段」がウリであるような「チェーン店」であれば、多数の店舗を展開しているかわりに「競合」も存在しています。そのような「競合」と「価格競争」に突入すると、もはや泥沼状態に陥ります。よく見られるのが「牛丼チェーン店」の価格競争です。牛道チェーン店は多数の店舗を展開し、大量の人員を導入し、一貫したマニュアルと原料の大量購入でコストを下げているスタイルの飲食店です。「手早く、安く、味もそこそこ」ということが「ウリ」なのですが、同様のビジネスは他店でも可能というわけです。まさに「薄利多売」の熾烈な競争を繰り広げています。

そのようなさまざまな「訴求」の中に「材料」、「食材」が「ウリ」というものも含まれる場合があります。「素材の良さ」というわけです。ところが、この「素材の良さ」は一般消費者には「わからない」ことがほとんどであり、材料となる食材の「原産地」を明かすことはよくあるものの、本当にそれが「スーパーなどでは売っていない」食材なのかどうかは怪しいのです。

飲食店向けの「業務用スーパー」や「問屋」という業者が存在しており、そのような業者は飲食店に大量の食材を卸しているものです。そのような店舗は時には一般消費者も利用可能である場合が多く、そうするとその「食材」は私たちでも入手可能というわけです。そのようなことを加味すると、「材料の良さ」はあまりあてにはならず、「農家直契約」という謳い文句であっても、その農家が一般小売店向けに卸していないとは限らないのです。そして、「鮮度」によってもその食材の「質」は変わるものですし、その年の「天候」などにも左右されます。本当に「材料が良いのか」ということは、私たちには調べようがないため、そのような謳い文句を並べられても「実際はどうなんだ」ということが全然見えないのです。これが「値段」の訴求であれば、それは他店と比べてみれば「一目瞭然」となります。そして「味の自由度」も食べるときにすぐわかるものです。ですが、「食材」だけは私たちにはどうしてもわかりません。

 

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