そのお店の看板メニューはなにか
飲食店ではひとつやふたつ、「看板メニュー」というものがあります。逆に、それがなければ「良い飲食店」ではないかもしれません。「飲食店の看板メニュー」とは、その飲食店に通う誰もが一度は食べるメニューです。そのメニューさえ頼んでおけば、その「お店の味」を把握できるような名物メニューです。例えば、同じ「ラーメン」でもそのトッピングはさまざまです。「チャーシュー」が少し多いだけで「チャーシュー麺」として独立したメニューになりうるほど、ラーメンのメニューはどのようにも増やすことができるのです。ですが、根幹は「ひとつのダシ」にあるかもしれません。麺は自家製でなくても、「スープに使っているメインのダシ」が他店にないものであれば、そのラーメンは「オリジナル」として成立するのです。そして、どのお店にも必ず「その核」となるものが「一番生きるメニュー」というものが存在するのです。その料理が、そのお店の「看板メニュー」であることが多いのです。その料理さえ食べていれば、そのお店がどうして「そのお店」なのかがわかるということです。
そのお店の「味」が少しでも気に入ったのであれば、そのようなメニューは食べないことは「損」であるともいえます。どうしてのお店が独立してやっていけているのか、どうして自分を含む「客」がその店に通っているのかの「答え」が、その「看板メニュー」には存在しているのです。そのようなメニューを食べないことは、いわば「常連」としては「モグリ」であるともいえるのです。
人は不思議なもので、「人の仕事」をある種の「芸術」として認めることができるものです。ひとつのお店に「惚れ込んで」通うということは不思議とその「味」を芸術として認める手いるということでもあるのかもしれません。別に自分は料理をするわけではない、その店のレシピを盗みたいわけでもないのですが、そのお店がそのお店である所以を知りたいと感じたり、そのお店の中心となっているメニューを知りたいと潜在的に感じているものなのです。それを自覚していなくても、そのお店に通うということは、そのお店のことが「好き」なのでしょう。だからぜひ、「看板メニュー」をたのんでみてほしいのです。
店主側も、その料理と共にお店を大きくして来た、切り盛りしてきたのかもしれません。もっとも手馴れて、誰でもうならせることができる自信があるかもしれません。そのようなメニューを注文することは、そのお店に対するある種の「礼儀」であるともいえるのではないでしょうか。どのメニューが「看板メニュー」なのかがわからない場合、遠慮せずにお店の人に聞いてみましょう。どのメニューを食べればそのお店のことがわかるのか、ということです。お店にとっては「オススメ」ということになります。飲食店の「オススメ」メニューは、そのお店の「名刺」のようなものなのです。そのメニューを誰にも食べてもらいたいと考えているものですから、遠慮せずに頼んでみればいいわけです。
料理を通じでそのお店を知る、そして「作っている人」のことを知るということは、飲食店でのお店とお客の「コミュニケーション」であるともいえるのではないでしょうか。